1:名無しさん




3205室管理費長期滞納とその回収について

3205室の5年に及ぶ1200万円の管理費滞納問題への対応を報告します。

1.管理会社からの督促

会計分科会 3205室の長期滞納が始まったのは、2020年2月からです。毎月、402,000円と大きな額です。最初は、管理会社からメール・LINE・電話で督促しましたが、3~4か月何の返事もありません。 賃借人の方にも連絡取って、シンガポールに転居したことがわかった所有者に伝えてもらおうとしましたが、埒があきません。 このまま、何も結果が出ないと理事会としても、責任を果たしたことになりませんし、いたずらに時間が過ぎていくだけで時効もありますので、弁護士と連携して、法的に回収を進めることにしました。

2.弁護士事務所と連携

管理会社の顧問弁護士は、受託業務外で受けられないということでしたので、自分達で弁護士を探すことにしました。アメサポさんと協力して、ネットで管理費の滞納に強い弁護士事務所を2,3探して、そのうちの銀座に事務所を構える弁護士法人エースに決めました。

そして、シンガポールの所有者に連絡を取ることにしましたが、名前や住所がなかなかわからず登記簿謄本や司法書士の方の力も借りて、住所、会社名等を調べて、知ることができました。 そして、セレブトリップ社に、滞納している家賃を支払ってほしいことと、支払われない場合は、裁判に訴える旨の通知書を送りました。 この後、しばらくして、メールで、我々(会社)は知らない、所有者の個人に言ってくれという返事が来ました。 それまで、何をしても返事がなかったのに、弁護士から督促と裁判に訴えるという手紙が来て、初めて返事が来たわけです。 やはり、法的な手段に訴えることが極めて大事であることを痛感しました。 そして、訴訟をしている期間は、時効の計算にカウントされないので、相手に時間切れで逃げ切られる心配はなくなりました。 結局調べてみると、所有者(個人)から、その所有者が株主をしている会社(セレブトリップ社)に3205室が売却されていることと、売却後しばらくは、管理費は支払われていたことがわかりました。 セレブトリップに滞納している管理費を、弁護士の口座に支払うことを指示してもらいました。

しかし、すぐに支払うわけもなく、我々になぜ言うのか、個人の所有者に言うべきとか、なぜ弁護士からいきなり通知がくるのかなど、全く知らぬ存ぜぬの一点張りです。また、個人の元所有者からも管理会社に連絡があり、滞納しているのを知らなかったなど、謝るそぶりありません。

理事会内部でも、交渉(示談)した方がよいとの意見も出ましたが、これに乗ってしまうと、まず、訴訟の取り下げを要求されて、そうしたが最後、交渉はストップし、連絡さえできなくなり、時効まで逃げ切られてしまいます。 従って、淡々と訴訟の手続きを進めました。結果としてこの判断が正しかったと思います。 なお、外国法人を被告とする場合、訴状を送達するのに相当な時間を要することがわかりました。今回は被告がシンガポール法人であったため、東京地方裁判所に提出した訴状が、日本国内では最高裁判所と外務省を経由して、シンガポール国内の日本大使館に届き、そこから委託を受けた法律事務所を通じてようやく被告の元に訴状が届くという手続を経ました。

3205室管理費長期滞納とその回収について

3.裁判

裁判は、我々、理事会のメンバーと被告のセレブトリップ社が裁判所に出廷して、相まみえるということはありません。 双方の弁護士を介して、地方裁判所に我々が訴状を提出して、訴えの内容を伝え、それに対して、相手方が反論するというやり取りになります。

これを2,3回やり取りし、判決になります。

 この間、相手方は、根も葉もないつくり話を色々してくるのですが、それに対して、アメアポさんが駐車場の解約届け、退去届け等を何年も前からずっと保管していたため、これがとても役に立ちました。相手方の主張に対して、ことごとく反論することができました。また、裁判所に対して、しっかり管理をしているマンションという心象を得られ、こちらの主張が正しいことを理解してもらえたと思います。 ある時、アメサポさんから、買い手候補の方から連絡があったとの報告を受けました。 区分所有法では、売却の際に、管理費の滞納額も含めて、売り手は買い手に明らかにしないといけません。それで、確認の連絡があったのです。 ただ、我々としては、取引自体を止めることはできません。 また、セレブトリップ社の債務は、新しい買い手に引き継がれます。つまり、裁判で負けて支払わなければいけない金額を、売り手が支払わなければ、買い手が支払わないといけません。但し、買い手から売り手へ請求する条項が契約に入っていることが普通です。す。所有権が移転した後、被告は、滞納していた管理費は支払ってきました。 その後の裁判は、我々にとっては、遅延損害金と弁護士費用についての裁判になりました。

判決の日は、我々が勝利するとは思っていたものの、やはり少し緊張しましたが、弁護士さんから、勝訴の報告を受けたときは、ほっとしました。 これに対して、相手方が、控訴することになりましたが、この間に、裁判所から和解しませんか。との打診が来ました。裁判所もできれば、判決までいく案件数を減らして、効率的に進めていきたいと思うのは自然なことです。 また、相手方の弁護士からも、裁判費用(30万円)をこちらが持つことで、遅延損害金と弁護士費用は支払うという和解案を持ち掛けてきました。

ただ、早く終わらせたいと和解に応じることはしませんでした。 我々が勝訴していますし、滞納している管理費と遅延損害金、弁護士費用を得ることができる権利を持っています。和解に応じるということは、これを一部でも放棄するということになりますので、住民の皆様にも説明できません。 また、長らく金利ゼロのデフレの時代が続いており、お金の時間価値がゼロでしたので、早く解決するメリットは、経済的にもありません。

また、我々のマンションが、管理費も修繕積立金も必要十分に手元に持っており、お金に困っていなかったことも裁判の継続(長期の持久戦)を選べた大きな要因でした。 かくして、我々が、和解に応じなかったので、相手方は控訴してきました。 次は、高等裁判所です。正直、管理費滞納で、高等裁判所で裁判するなんて、本気かと思いましたが、売られた喧嘩は買わないといけません。 理事には、心理的にもプレッシャーがかかって厳しい状況が続きますが、相手方はもっと勝ち目のない苦しい戦いを続けていると思って、粘り強く続ける決心をしました。

控訴審についても、2,3回同じような文書での意見のやり取りがあり、半年後に判決になりました。これも我々の完全勝訴です。遅延損害金や弁護士費用も裁判費用も全て相手が支払うことになりました。 ただ、ここからの回収にも1年程度時間がかかりました。 セレブトリップ社は、結局払いませんでした。 もう売っていますし、払わなくても、新所有者が支払わなければいけないからです。 この間、2番目の所有者は、この裁判の経緯を知ったのかどうかわかりませんが、3番目の所有者に売却していました。今度も、海外の会社(JieCheng社)です。法律的には、このhen社が支払わなければ、物件(3205室)を差し押さえることができることになっています。 そのため、3社間で、いろいろと駆け引きがあったと聞いていますが、最終的には、物件を差し押さえられたら困るJieCheng社が遅延損害金と弁護士費用を支払うことになりました。支払われたのは2025/2/10です。 これによって、足掛け5年かかった管理費滞納問題が、組合が受け取るべきお金は全て受け取るという形で、完全に決着することになりました。