1:名無しさん




 今年後半、日中関係が急速に冷え込んだ。台湾有事に関する高市早苗首相の国会答弁に中国が猛反発し、事実上の報復措置を幅広く打ち出しているためだ。滑り出しは好調に見えた高市政権の対中外交はなぜ空転したのか。中国では、高市政権に圧力をかけることについて、「殺鶏嚇猴(鶏を殺して猿への見せしめとする)」という意味の故事成語が使われている。台湾問題に介入しようとする鶏(日本)を締め上げ、周りで見ている猿たち(米国や欧州諸国)をけん制するという意味合いだ。日中両国政府や周辺の関係者への取材を踏まえ、めまぐるしく揺れ動いた高市氏と中国の攻防を振り返る。(共同通信=大熊雄一郎)

▽投げたボール

 最初にボールを投げたのは高市氏サイドだった。

 「韓国で習近平国家主席と会いたい」

 10月4日に自民党総裁に選出された高市氏は、程なくして韓国で開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて、習氏と会談したい意向を東京の中国大使館を通じて伝えた。

 ボールを受け取った中国は戸惑った。

 中国は、高市氏が過去に台湾の頼清徳総統と会談したことや終戦の日に靖国神社を参拝していたことから、「右翼」政治家として警戒していた。APECが迫る中、習氏と高市氏との会談にゴーサインを出すべきかどうかを短期間で判断する必要に迫られた。

 10月16日、中国外交部で対日政策を担う幹部は、東京都内にある自民党重鎮の事務所を訪れた。重鎮は思案顔の幹部に「どうするおつもりですか」と発言を促した。幹部は、習氏と高市氏との会談について「これまでの合意を踏まえることが前提で検討します」と述べた。合意は、台湾を自国領とする中国の立場を「十分理解し、尊重」するとした日中共同声明など四つの文書を指す。その上で幹部は、高市氏が、台湾との友好関係を重視する超党派の国会議員連盟「日華議員懇談会」など中国に批判的な議員連盟との関係を整理する必要性を訴えた。

https://www.47news.jp/13664501.html