1:名無しさん




Ⅵ.おわりに ― 残された課題

本提言では、2030年頃を見据えて必要な施策を示した。他方で、今後も人口減少が進むなか、2030年以降も在留外国人は増加の一途を辿ることが見込まれる。今後も息の長い取り組みが必要であり、ライフコース全体を考えた政策形成に向けて、中長期的な課題も多く残されている。

一つは、在留外国人の高齢化への備えである。現役世代のうちから、年金・医療・介護等の社会保障制度への加入、保険料納付を徹底し、制度への適正なアクセスを整備していく必要がある。同時に、医療機関・介護施設等の受け皿の整備も課題となる。

また、子どもの教育環境の整備も喫緊の課題である。外国籍の子どもへの教育や生活支援を現状のボランティアへ依存する構造から脱却しなければ、持続可能な受入れ環境の整備はできない。

これまでの外国人政策は、問題が起きてから対処するという受け身の対応であった側面も否めない。現在直面する課題だけでなく、中長期に想定される課題への対応を先送りすれば、却って行政コストが増大する可能性が高くなる。

今後は、社会の分断を招かないよう、外国人政策に関する基本理念を基に能動的に政策を推進していくことが求められる。そのためには、政治が強いリーダーシップを発揮できる体制の早急な整備が欠かせない。

こうした推進体制の下で、有為な外国人が中長期的に日本で活躍できる環境を国・地方自治体・企業・地域に根差した団体等の多様なステークホルダーが一体となって整備し、成長と分配の好循環の基盤を形成していくことが求められる。

https://www.keidanren.or.jp/policy/2025/086_honbun.html