1:名無しさん




・要約

行きたい場所は特にない――というより、正直に言うとお金がない。 だから遠出のプランを立てるにも気分が乗らないのだが、ふと思いついた。「千円札一枚を握りしめてフリーマーケットに行くのはどうだろう」。

普段は行かないような少し離れた場所で、しかもフリーマーケットが開かれているところを探してみると、埼玉県北葛飾郡の「道の駅アグリパークゆめすぎと」に行き当たった。公式サイトの写真を見ると、道の駅というよりアミューズメント施設の一部のような造りで、いい意味で“らしくない”雰囲気が漂っている。

現地に着くと、のぼりが立ち並び、いかにも賑やかな会場の予感がする。今日はどれほど盛り上がっているのだろうか――胸を高鳴らせながら足を踏み入れる。

……ところが、そこにあったのは「ゼロ」だった。 出店どころか人影すらない。まるでインド人がここで“ゼロの概念”を発見したのではないかと思うほど、見事に何もない。

念のため他のエリアも歩いてみたが、やはり同じ。おかしいなと首をかしげつつ、改めて道の駅の公式サイトを確認してみると、営業時間は17時まで(一部は16時まで)と記されていた。そして、到着したのは16時半。

もう少し早く来ていれば、フリーマーケットの賑わいを目にできたのかもしれない。しかし閉店30分前では、すでにすべてが撤収され、静まり返った広場しか残っていなかった。