「EV(電気自動車)失速」が世界の自動車大手を揺さぶっている。
独メルセデス・ベンツは2030年としていた「完全EV化」計画を撤回。同じく30年までに「全ての新車をEVにする」としてきたスウェーデンのボルボ・カーも構想断念に追い込まれた。
米ゼネラル・モーターズはミシガン州の工場でのEV投資を2年間凍結。フォード・モーターは大型SUVのEVモデル開発を取りやめる。系列部品メーカー筋によると、トヨタ自動車も26年で150万台としてきた世界EV生産台数を100万台に下方修正したという。
業界関係者らにひときわ衝撃を与えたのが独フォルクスワーゲン(VW)だ。ドイツ国内の生産拠点の一部閉鎖を「検討する」というもので、実施されれば1937年の創業以来初。2029年末までの従業員に対する雇用保障契約の「破棄」すら辞さない構えだ。
VWはディーゼルエンジンでの燃費不正問題が発覚して以降、ひたすらEV化に舵を切ってきた。21年には向こう5年間の総投資額の6割に当たる14兆円超(890億ユーロ)をEV関連領域に振り向ける方針も打ち出した。しかし、巨額投資に見合うだけの販売実績を挙げられず、コスト削減を余儀なくされた格好だ。
同社はドイツ国内に完成車6工場、部品4工場を抱え13万人を雇用している。閉鎖対象となるのはこのうち「少なくともそれぞれ1工場」(首脳)とされ、現地では、傘下ブランドのポルシェやアウディに比べ相対的に収益力が劣る「VWブランド車の工場が標的になる」とも取り沙汰されている。無論、組合側は猛反発している。
そんな中、大手各社が固唾をのんで見つめているのがホンダの動きだ。
「40年にEV/FCV(燃料電池車)化率100%」の旗印を今なお掲げ続けているからだ。その達成に向け今年5月には、30年度までに21年度から累計でEVとソフト開発に10兆円を投じるとの計画も発表している。
だがホンダの研究開発費は24年3月期ですでに1年間に稼ぎ出す営業キャッシュフローを上回る規模に膨らんでいる。そんな財務上の重荷に「一体いつまで耐えていけるのか」(トヨタ関係者)というわけだ。
販売拡大によるキャッシュインで回収できなければ「いずれ行き詰まる」と市場関係者らも気を揉むことしきりだ。
https://news.livedoor.com/article/detail/27169549/
続きを読む