1:名無しさん




農地の賃貸借契約は、地主の一存で一方的に解除することはできません。これは農地法が、農業の安定的な継続を守るために厳格な規制を設けているからです。同法第十八条は、賃貸借の解除や更新拒絶などを行う際には、原則として都道府県知事の許可を得なければならないと定めています。したがって、地主が経済的な事情だけを理由に「農地を返してほしい」と求めても、その要求が直ちに認められるわけではありません。借主に契約違反がなければ、引き続きその農地を耕作する権利が保護されます。

もっとも、貸主が契約解除を申し出ることがまったく認められないわけではありません。農地法は「正当な理由」がある場合に限り、知事の許可を受けたうえで契約の解約が可能になるとしています。たとえば、借主が長期間にわたって農地を放置している、地代を繰り返し滞納している、あるいは地主自身が農業に従事する計画を持ち、適切に耕作する準備が整っているといった事情があれば、解除が認められる余地があります。一方で、単に「貸し農園に転用したほうが収益が高い」といった経済的理由だけでは、正当な理由とはみなされません。

要するに、農地の賃貸借契約を解除するには、法律上の手続きと客観的に合理性のある理由が不可欠だということです。借主に重大な契約違反がない限り、地主が一方的に耕作者を排除する道は閉ざされていると理解しておく必要があります。

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