1:名無しさん




実検の作法は、まず右手で髻をにぎり、引き上げめにして、右手に台を持ち下から受けて持って出て、すわるとき両膝をふせて安座する。ついで台を下に置き、首の耳に左手拇指を入れ、残る指で頤をおさえ、右手は頬から頤へあてて持ち上げ、首の横顔を見せて左へ回って立ち退く。帰るときは首を台にのせて持ち退く。実検のときは、大将とお目に掛ける者の間、大将の左方に奏者が居て、首をあげた者の名を披露する。つづいて首の名字をいう。首の台の無い場合は鼻紙またはふつうの扇裏を台として首を受けるように出す。

実検がすめば、首を中門の外の台または首桶の蓋の上に置き、首を敵方に向け、弓杖5つほど退いて立ち並んで、ときの声をあげる。つづいて縁の無い折敷に土器(かわらけ)を2つかさねて、向こうにコンブ1きれを置いて、コンブを首の口によせ傍に置き、上の杯に2度酒をつがせ、飲ませる体にして傍にふせて置き、またコンブを口に寄せ、下の杯に酒を2度いれて飲ませる体にする。このとき銚子の持ち方は常にかわり、左手を先にしかつらの星のところを持って、右手は長柄の折目を持って、左手甲のかたへ捻って逆に酒をつぐ。ここから、コンブ1きれ、杯2つ置くこと、2献のむこと、左酌で逆に酒をいれること、杯をうつぶせて置くことなどを忌みきらう。これが終って首を北の方へ捨てる。北は「にげる」と訓むからだという。

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