「同志国連携のネットワークを拡大するものだ」
4カ国の大臣による共同記者会見。この晴れがましい場で小泉氏が力強く宣言したこの時、日本・イギリス・イタリアの3カ国が推進する次世代戦闘機開発計画「GCAP(ジーキャップ・グローバル戦闘航空プログラム)」、すなわち、日本における「F3」計画に、カナダがオブザーバーとして正式に参加することが発表された。将来の購入を前提に、開発段階から情報共有を行う、この枠組みへのカナダの参画は、GCAPが世界の次世代戦闘機市場で「ひとり勝ち」の状況となり、「戦闘機覇権」を握ったことを印象づける歴史的なシーンとなった。
なぜ、「戦闘機の絶対王者」であるアメリカ製ではなく、日本主導のGCAPに世界中の熱視線が注がれるのか。その背景には、欧州が長年追い求めてきた「独自の防衛網構築」という壮大な夢の崩壊と、日本政府による執念のトップ外交があった。<中略>
関心を寄せているのは、カナダだけではない。GCAPを統括するGIGOトップの岡真臣氏は、「10カ国超が開発の状況に関心を示している」と話している。FCASの枠組みの一員だったスペインや、オブザーバー参加していたベルギーが早くもGCAPへの関心を示したのをはじめ、インド太平洋地域からはオーストラリアやシンガポール、さらには、北東欧のスウェーデンやポーランドなども関心を持つとされている。そして、導入する国が増えれば増えるほど、自衛隊との共同訓練や、維持・整備面での協力が円滑になるという利点があるのだ。
GCAPは、アメリカのロッキード・マーティン社製の第5世代戦闘機、F22やF35を超える第6世代戦闘機という位置づけである。第6世代機の場合、機体そのものの運動能力だけでなく、周囲に展開する複数の無人機(ドローン)をAIで統制する「チーミング」能力が決定的に重要であり、その性能を決定づける。日本陣営は、将来的に300機規模と見込まれる導入機数を生かし、このデータ連携時代において世界市場で先手を打つ構えだ。
背景には、同盟国であるアメリカの「戦闘機覇権」の後退もある。トランプ政権は次世代戦闘機「F47」の開発を公表したものの、そのアメリカ・ファースト(自国第一主義)への不安から、同盟国などとの具体的な協議は一向に進んでいない。東アジアや欧州の安全保障に対するアメリカの関与が相対的に低下するなか、中露の軍事的脅威に対抗するためには、米国への依存を減らしつつ同志国間で防空能力強化の負担を分かちあう、次世代戦闘機の共同開発が、まさに時代の要請となっているのだ。
・「ドイツ合流」という罠<中略>
開発への参加国が増えれば増えるほど、各国の機体への要求は複雑化し、意思決定は遅れる。「船頭多くして船山に登る」状態に陥れば、それこそ、崩壊したFCASと同じ轍を踏むことになる。前述の通り、日本には「2035年配備」という譲れないデッドラインがある。防衛装備庁内では、開発期間を短縮するために試験用の機体を増やして複数の試験を同時進行させる案まで浮上しているほど、スケジュールは逼迫しているのだ。もしドイツの参画によって、結果的に計画が数年でも遅延すれば、日本の防空能力に致命的な「穴」があき、増強を続ける中国の航空戦力に対して圧倒的な劣勢に立たされることになる。
日本政府内では、今秋に調整が進められている日独首脳会談において、ドイツ側からGCAPへの合流について「何か言われるのではないか」(別の防衛省幹部)との懸念さえ出ているのだ。
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https://news.yahoo.co.jp/articles/e8cbe3ff9f9cddd8c068f96719d8ca3259e83343
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