1:名無しさん




賃貸アパートやマンションを経営していると、物件内で思わぬ事故が発生することがあります。たとえば、共用階段での転落や、ベランダの手すりが緩んでいたために住人が転落してしまうといったケースです。このような場合、大家である賃貸人はどこまで責任を負うことになるのでしょうか。

ここで関わってくるのが「工作物責任」という法律上の考え方です。工作物責任とは、土地上に設置された建築物や設備(=工作物)に欠陥や不備があり、それによって人に損害を与えた場合に、その占有者や所有者が損害賠償責任を負うというものです。建物そのものはもちろん、共用部分である階段やエレベーターも工作物に含まれます。そして、これら共用設備を占有しているのは基本的に大家であるため、事故が起きたときに不備が原因であれば、大家が責任を問われる可能性が高いのです。

工作物責任が発生する具体的なケース

占有者の責任
まずは、設備を実際に管理・使用している「占有者」に責任が生じます。賃貸物件の場合、共用部分の占有者は大家です。ただし、占有者が適切に点検や管理を行い、「相当の注意」を払っていたと認められれば、免責されることがあります。

所有者の責任
では、占有者である大家が注意義務を尽くしていた場合、責任は一切問われないのでしょうか。実はそうではありません。法律は「所有者の責任」も定めており、占有者が免責される場合には、建物の所有者に責任が移ります。この所有者責任は「無過失責任」とされているため、大家に落ち度がなかったとしても、免れることはできません。

つまり、共用部分はもちろん、各住戸内であっても、入居者がしっかり注意して使用していたにもかかわらず事故が発生した場合には、最終的に大家が責任を負うことになるのです。

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