1:名無しさん




「ワークマン女子」を仕掛けたのは、1952年生まれのT氏である。彼はYouTuberのS氏を社外取締役に迎え入れ、2020年10月16日、横浜・桜木町に初号店を開いた。だが、この頃から周囲の浮かれぶりに、違和感を覚えた人も少なくないだろう。なにしろ、開店からわずか数日後の10月21日には、D社から『ワークマン式「しない経営」』なる自己礼賛本が刊行されているのだ。サブタイトルは「4000億円の空白市場を切り拓いた秘密」。経歴をたどれば、彼が商社から縁故でワークマンの経営陣に加わったのは2012年にすぎない。それでも早稲田や一橋の教授による「強力推薦」が並び、5万部突破、テレビで話題沸騰、と大々的に喧伝された。さらに初号店には、インスタ映えスポットやゆるキャラといった仕掛けまでが持ち込まれた。

しかし冷静に考えてみれば、時期は2020年初頭に国内でコロナ禍が始まった直後である。大学の授業もリモートとなり、ターゲットとされたはずの「女子」たちは街を歩くどころか、アルバイトも減って可処分所得すら激減していた。既存のロードサイド店で十分に利益を上げられていたことを考えると、この状況で都心部の「ブルーオーシャン」を狙った強引な展開は、まともなマーケティング戦略とは言い難い。

ワークマンの作業服は低価格で高品質なことから、現場や輸送業で働く女性はもちろん、一部のF1層にも支持され始めていた。しかしそれは、いわゆる「港区女子」のような消費の主流層ではなく、アウトドア志向の少数派にとどまっていた。その層に向けて、桜木町の中心地に「インスタ映え」や「ゆるキャラ」を前面に出す業態を打ち出したのは、セグメント分析としても破綻していたと言える。実際、彼女たちの話題にものぼらず、追従していたマスコミでさえ「ワークマン女子」という造語をいつしか口にしなくなった。

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