1:名無しさん




 前提として、完全にどうかしている映画だ。設定は矛盾し、説明は放棄され、場面は理不尽に移り変わる。キャラクターの心情や理念に合理性はなく、繰り返し観客の感情移入を拒む。

 今ここで何が起き、何のためにここにいるのか? 彼らは何を目指しているのか? 徹頭徹尾筋道というものを無視するストーリーに、観客の頭には無限の?マークが浮かぶだろう。

 ただそれは、必ずしも悪い意味だけではない。個人的な気持ちを言ってしまえば、『果てしなきスカーレット』は、前作『竜とそばかすの姫』および前前作『未来のミライ』よりも、よほど見てほしい作品だ。もし可能であれば、先入観なしに。

※以下、『果てしなきスカーレット』のネタバレを含みます

 まず言っておきたい。本作は明確に、ファミリー向け映画ではない。16世紀デンマークを舞台に、「ハムレット」を下敷きにした王弟の計略によるクーデターから物語は始まる。若き王の娘スカーレットは復讐の炎をその目に宿す強き娘であり、大筋ははっきりとした復讐悲劇だ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/e2096acdc58fad0911d1e676fca441d22ac0f801