1:名無しさん




■ この世の地獄とは・・・

近隣の精神科病院で大規模な集団感染が発生した。

この病院では、ワクチンを強く批判する医師が常勤していたため、接種がほとんど進んでいなかった。その医師は院内メールで「ワクチンを打つと感染が広がり、多くの患者が死ぬことになる」と職員に呼び掛けていたそうだ。このため、入院患者246人のうち、ワクチンが接種されていたのは、たった16人に過ぎなかった。 アルファ株による感染拡大は強烈なものだった。集団感染が判明して全患者にPCR検査を行ったが、残念なことにすでに感染は大規模に拡がっていた。入院患者270人のうち感染者は174人(平均年齢78歳)、死亡者は71人と致死率 41%であった。

この集団感染が明らかになると、アルバイト当直の医師が来なくなった。所属病院から「感染リスクが高い当直はするな」と指示されたらしい。打ち合わせの席で、院長が堪えきれず号泣する場面もあった。もはや病院職員たちでは病院の機能を維持することすらできないことは明らかだった。

仕方ないので、周囲の急性期病院から医師らが支援に入り始め、県から派遣された看護師やDMATも加わって、この病院を組織的に支える体制を構築していった。しかし、感染拡大のスピードがあまりにも早いうえに、一部の職員が離職していくので人手が足りず、入浴や口腔ケアは中止、食事介助も追い付かず、点滴補液に切り替えるしかなかった。こうして状況は悲惨になっていった。

支援に入った若手医師のひとりが、「この世の地獄とは…… こういうものなんですね」と闇に消えそうな声で言った。放置されて糞尿まみれのオムツを交換しようとしたときだった。マジックテープを剥がして開けてみると、オムツ内に大量のアリが群がっていたという。しかも、その行列は胃瘻チューブの外側をたどり、患者の腹腔内へと入っていた。

仲村先生ら施設支援班は新たな戦略を考えた。それは、残されたPCR陰性者にワクチンを接種することだった。当時、高齢者施設で集団感染が始まると、規模によっては鎮圧に1カ月以上を要していた。であれば、今からでも遅くない――そう判断したのだ。

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