1:名無しさん




ジビエによる食中毒の原因となるウイルス、細菌、寄生虫

 野生鳥獣は、牛や豚等の家畜と異なり、飼料や健康状態等の管理が行われていないことから、人に対する病原体(ウイルス、細菌、寄生虫など)を保有している可能性が高く、食品として一定のリスクが存在します。
 シカ、イノシシ等の肉を食べる際には、中心部まで火が通るよう十分に加熱することが重要です。

◆ E型肝炎ウイルス

 E型肝炎ウイルス(HEV)は、急性肝炎(まれに劇症肝炎)をひきおこすウイルスです。
 臨床症状はA型肝炎と類似しており、発熱、悪心、腹痛等の消化器症状、肝腫大、肝機能の悪化(ALT 上昇、黄疸)が主症状です。
 大半の症例では、安静により治癒し、通常は慢性化することはありませんが、妊婦に感染すると劇症化しやすく、致死率も高く20%に達することもあります。特異的な治療法はなく、対症療法が中心です。
 調理の際に加熱を徹底することが重要ですが、食べる前の調理の段階でも、血液を介して感染するおそれがあるため、皮膚の傷からウイルスが体内へ入ることのないよう注意してください。

◆ 腸管出血性大腸菌

 腸管出血性大腸菌は、家畜や人の腸内にも存在し、野生鳥獣肉からも検出されています。代表的なものは「腸管出血性大腸菌O157」で、そのほかに「O26」や「O111」等が知られており、毒素を産生し、出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群(HUS)を起こします。
 食中毒の予防には、十分な加熱のほか、手洗い等の一般衛生管理の徹底が重要です。

◆ 旋毛虫(トリヒナ)

 旋毛虫(トリヒナ)とは、旋毛虫症(トリヒナ症)の原因となる線虫(寄生虫)です。
 トリヒナ症の症状は、筋肉痛、発熱、悪寒、浮腫、好酸球増多が特徴的ですが、これら症状の程度を決める最大の要因は、肉とともに摂食した虫体にあります。少数感染の場合は無症状で経過することもありますが、多数感染で最悪の場合には、感染4~6週後、呼吸麻痺を引き起こすことにより死に至ります。
 野生鳥獣の肉は十分加熱して喫食すること、まな板や包丁など使用する器具を使い分け、処理終了ごとに洗浄、消毒し、衛生管理の徹底が重要です。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/01_00021.html